霧島市長                                                             2005年12月28日

  前田 終止 様

                           国分・隼人児童クラブ連絡会

  代表委員  本田 直美(青葉児童クラブ)

       上村 博一(とみくま児童クラブ)

              続  博治(宮内児童クラブ)

                                                      事務局/青葉児童クラブTEL45-7800

2006年度「学童保育(放課後児童健全育成事業)」予算に関しての要望書

 貴職におかれましては、日頃より学童保育事業(放課後健全育成事業)の発展のためにご尽力いただき、敬意を表します。

 

 さて、今日、共働き家庭の一般化や一人親家庭の増加、また、子どもが被害に遭う事件が増えるなどの地域での子どもの生活をめぐるさまざまな環境の悪化のなかで、仕事と子育ての両立支援地域での安全・安心な毎日の生活を保障する学童保育放課後児童健全育成事業の必要性がますます高まっています。

 2005年5月1日現在、2,033市町村に1万5,309か所の学童保育があり、昨年同月と比べると631か所増えています(全国学童保育連絡協議会調査)。学童保育の法制化(1997年児童福祉法改正、1998年4月施行)後、急激に増えてきてはいますが、2005年はここ数年の伸びから比べると増え方は少なくなりました。次世代育成支援対策で市町村に策定が義務づけられた「地域行動計画」による設置目標が、国の財政措置の見通しがなかったことが原因と考えられます。

入所児童数は急増しており、5年間で20万人以上増えています。2005年は、入所児童数の伸びが、厚生労働省調査でも過去最高になっています。

 

私たちは、共働き・母子父子家庭など学童保育を必要とするすべての保護者が、安心して子どもを託すことができる学童保育が居住する地域・学区に設置されること、そしてその学童保育においては、子どもたち一人ひとりが放課後(夏休みなどには朝から一日)、居場所と実感できる生活の場が保障されることを願って、よりよい学童保育づくりに努力してきました。

しかし、県内及び、管内の学童保育は、まだまだたくさんの課題・問題を抱えています。

学区に学童保育のない小学校がある(県内…小学校610校中、学童保育数250ヶ所、設置率は、41.0%で全国平均65.4%以下。霧島市…小学校34校中、学童保育数17カ所、設置率50.0%)

生活の場にふさわしい施設・設備となっていない学童保育が多数ある、特に最近では、1施設当たりの児童数が急増する「大規模化」が目立っている

子どもの生命と生活を守り親たちの生活を支援する指導員に対して安定した雇用・労働条件が整えられていない

          必要にも関わらず入所できない児童(障害児、高学年)がいる

          大多数の学童保育が厳しい財政運営を余儀なくされているなど

 

国および地方自治体が、それぞれの役割と責任を持ち、仕事と子育ての両立支援、次世代育成支援対策に十分に寄与するためには、その柱のひとつである学童保育のナショナルミニマムが制度的に保障されることが絶対に欠かせません。

今後の日本に深刻な影響を与える少子化の急激な進行は、いま抜本的な対策をとらなければ、10年後、20年後では対応できないと言われています。経済界も「仕事と子育ての両立支援の強化が少子化対策に効果的「抜本的な財政措置が必要」と指摘しています。厚生労働」省も「社会保障費のわずか4%しかない子育て支援関係予算」の実態を変えていく必要性を強調しています。いま、だれもが安心して子どもを生み育てながら働ける社会を作っていくことが求められています。

「三位一体改革」による財政措置が不透明ななかで市町村に策定が義務づけられた「地域行動計画」で、学童保育の設置目標は実際の増加数の半分となってしまいました。まだまだ設置数が少ないなかで、この設置目標の見直しが絶対に必要です。

また、2005年度の学童保育予算が当初、厚生労働省の「国として、がんばっているところを応援していきたい」という方針に応えて拡充に努力してきた学童保育や市町村ほど、大幅に補助金が削減されるような内容で、しかも地方自治体が予算を決めた後での提示であり、内容的にも提示した時期の点でも、大きな問題を引き起こすものでした。補助金は結果的に障害児加算や長時間加算が復活するということになりましたが、今後はこうした問題が起こらないよう、地方自治体や関係団体の要望に応えるような予算編成と、変更の場合の周知期間を設けることを強く求めてきています。

 

全国学童保育連絡協議会では、2003年6月に、国および地方自治体に対して提言「私たちが求める学童保育の設置・運営基準」(別紙)の実現を要望してきていますが、学童保育の必要性と働く親たちの願いがますます強まっている今日、是非、新しく発足した霧島市において、県内の他の自治体に先駆けてこの「運営基準」を策定していただきますよう要望するとともに、「三位一体改革」によって学童保育の水準が後退することなく、いっそう拡充されるよう以下の点を要望します。

また、個別児童クラブからの要望にも、積極的に対応していただきますよう要望いたします。

 

要 望 項 目

1.2006年度学童保育(放課後児童健全育成事業)予算について

(1) 必要な地域すべてに設置するとともに、待機児が生まれないように補助の対象か所数を増やしてください。

(2)大規模化を解消し、適正規模になるような施策づくりと予算措置をしてください。

(3)障害児の受け入れ推進のための補助金をなくさず、むしろ「障害児1名から」補助が受けられるようにしてください。また、補助額および補助基準は障害児の数に応じて指導員の加配が可能になるようにしてください。基準額は指導員の人件費として予算化してください。

(4)保護者の働く実態に即した開設日・開設時間が設定できるよう予算化してください。

(5)年間を通して指導員の資質の向上、実践に役立つ研修ができるように、研修費補助を予算化してください。

 

2.要望のあるすべての小学校区に学童保育がつくられるようにするために、下記の施策を講じてください。

(1)学童保育を単独で建てる場合の「児童厚生施設等整備費」を活用できるように予算化を図るなどしてください。                   (別紙「学童保育の施設整備に活用できる国の補助金」参照)

(2)同時に、余裕教室を学童保育施設として活用を促すため、及び障害児受入のために既存施設を改修するため、「保育環境改善等事業費」を活用できるようにしてください。

(3)学校施設等を学童保育の専用施設(室)として活用できるように、文部省教育助成局長通知などにもとづいて、教育委員会に対して積極的な指導を行ってください。

 

3.実効ある学童保育運営に必要な施策の充実について

 鹿児島県が作成した「かごしま子ども未来プラン」(鹿児島県次世代育成支援対策行動計画)の実効性をもたせるため、学童保育の実態や要求にあわせた改善をはかり、県に対して必要な予算措置を求めてください。

(1)全国学童保育連絡会が提言している「学童保育の設置・運営基準」をもとに、「霧島市放課後児童クラブ運営基準」(仮称)の作成を行ってください。

(2) 事業の推進にあたっては、行政の都合による「地域の実情に応じて」ではなく「利用者のニーズ」を基本として事業の拡充を図る必要があることを明確にしてください。

(3)学童保育が「保護者が就労等により昼間家庭にいない」児童のための事業として法制化されたことの趣旨と意義、仕事と子育ての両立支援、次世代育成支援対策、男女共同参画社会づくり等の重点施策として政府が強力に推進している旨を、関係機関および行政担当者等に周知徹底してください。

 

4.「三位一体改革」の動きを受けて厚生労働省は、今年度当初、補助金の仕組みの改悪を進めようとしました。“頑張っている”自治体を励ます現行の補助金の仕組みを維持するよう基礎自治体として、県と国にはたらきかけてください。

 

以 上


【各児童クラブ要望書】

青葉児童クラブ   霧島市国分重久21051

平成18年度児童数   新1年生2 6名  新2年生13名  新3年生17

計 5 6

指導員数        常勤 2名  非常勤 3

要望内容

@児童数増加に伴う備品購入のための費用の補助金をつけてください。

 青葉児童クラブでは、来年度の児童数が定員を上回る入所申し込みがあり5 6名という大規模学童となります。

机・靴箱・棚ほか子どもたちの日々の生活に必要な物が、全て不足し補充しなければなりません。

つきましては、「備品購入のための費用」としての助成金をお願いいたします。

A児童数増加に伴う指導員の人件費確保のため市の補助金をカットしないでください。

 児童・一人ひとりに目を配り、安全な放課後を保障するため指導員を増員する必要があります。そのための人件費を確保するためにも市の補助金を旧国分市と同額もしくはそれ以上を希望します。

B指導員研修会の補助金を付けてください。

私たち国分隼人児童クラブ連絡会では、20022月から保育内容の充実と指導員の資質向上のため、指導員相互研修会を行っています。

また、全国学童保育連絡協議会主催の指導員学校に参加する等、日々研修に励んでいます。これらの会参加費用は、各運営費より支出や参加者の自己負担となっております。研修会の経費(参加費を含む)の補助金を付けてください。

 

 

こひつじ児童クラブ   霧島市国分姫城30531

平成18年度児童数    1年生6名  2年生18名 3年生6名(短期2名)

その他2名(短期5名)      計 36

指導員数        常勤2名  非常勤2

@市単独補助金について

今年度は、これまで通りの補助金額が頂けるとのことで安心しておりますが、今後もそれぞれ地域の実情をふまえ、現状の補助金額での長期的継続をお願い致します。

保護者負担金と補助金のみで、運営しているものであり母体はありません。合併に伴い補助金額が減額にならないようご配慮お願い致します。

A障害児補助金を1人からでも出して下さるようにお願い致します。

B母子・父子家庭に対する補助金について

片親世帯が増えております。その世帯に単に保育料を減額するとなると、片親世帯に負担が増えます。

補助金制度を設けて欲しいです。

C学童周辺の道路の改善

道路が狭く、京湯温泉があるため車の出入りが多い。

 

 

 

向花児童クラブ  霧島市国分府中町13−15

平成18年度児童数    新1年生 8名  新2年生 5名  新3年生 8

計 21

指導員数         常勤3名   非常勤 1

要望内容

@学童保育を必要とする地域の全てに設置して欲しい。

A国・県・地方自治体の学童保育に対する補助金の増額を要望します。

B施設、指導員に関する条件の改善を計って欲しい。

指導員の労働条件は自治体の補助金によって大きく左右されます。

社会保険・退職金なし、低賃金で不安定な雇用、劣悪な労働条件です。

C施設(土地、建物等)を確保する為の自治体の具体的な援助をお願いしたい。

 

 

宮内児童クラブ   霧島市隼人町神宮341

平成18年度児童数見込み  1年生16名  2年生16名  3年生12

計 44

指導員数          常勤2名(現在1名)  非常勤3

要望内容

@          専用トイレを緊急に設置して欲しい。

A          20枚の入れ替え

B          施設の建て替え(老朽化と狭い…50名対応に)

C          指導員体制の充実のために補助金を増額して欲しい。

 

 

とみくま児童クラブ  霧島市隼人真孝8 243

平成17年度児童数     H1711月現在  在所数 35

指導員数          常勤 2名  非常勤1

要望内容

@現在の施設は、取り壊す予定の民家(築50年以上)を借り受けており、シロアリの被害や雨漏り等老朽化がすすんでいます。早急に公設していただきたい。

A指導員の確保に苦労しており、原因として安価な時給と身分が保障されていない事にあると思われます。指導員の身分確保と労働条件の改善のための資金の援助をお願いします。