鹿児島県県知事                                                         2004年12月1日

  伊藤 祐一郎 様

 児童福祉課長

    福永 政治  

国分・隼人児童クラブ連絡会

  代表委員  本田 直美(国分市)

       上村 博一(隼人町)

              続  博治(隼人町)

    

児童クラブ(放課後児童健全育成事業)運営に関する予算拡充に関する要望書

 

児童クラブ(学童保育)へのご支援・ご協力に心より感謝申し上げます。

さて今日、ますます学童保育(放課後児童健全育成事業)の必要性が高まっています。

20045月現在の学童保育数は14678カ所、昨年比で881カ所増、5年前比では約4500カ所と急増しています。入所児童数は、20035月調査で約54万人(1施設平均入所児童数39.0人)、5年前比で約20万人増加、厚生労働省の今年の調査でも、この1年で新たに5万人増の59万人(1施設平均入所児童数41.3人)となっています。

いまや学童保育は、保育園同様に「仕事と子育ての両立」のためになくてはならない、共働き・一人親家庭の「ライフプラン」となっています。しかし、保育園を卒園して小学校に入学する児童の半数は学童保育に入所しておらず、待機児童も発生しているなど、まだまだ足りないことが大きな問題です。

 

学童保育施設の拡充に当たり、全国学童保育連絡会としても以下の4点を国及び地方自治体に働きかけてきています。

@少子化対策を抜本域に強化する必要があることは社会的な合意となっています。また、「仕事と子育ての両立支援」が有効であることは、男女共同参画会議の中でも指摘されているところです。子育て支援でとりわけ遅れている学童保育施設の拡充をいっそう強力に進めるよう国に働きかけてください。

A学童保育数や入所児童数が急増しており、量的拡大は進んでいますが、施設や指導員体制など質的拡充は進んでいません。国か学童保育の設置・運営に必要な基準を具体的に示し、必要な財源措置を図ることが必要です。その実現を国に働きかけてください。

B学童保育は1997年に法制化されましたが、十分な予算措置や設置・運営に関する基準もなく、市町村によっては大きな格差があります。現在でも貧弱な学童保育への国の補助金をなくして一般財源化されれば、現状では地方自治体での施策拡充につながるどころか後退を招きかねません。一般財源化するのではなく、施策拡充を進めるよう働きかけてください。

C「余裕教室を活用したすべての児童の放課後の遊び場提供事業(全児童対策事業)」を実施することで学童保育を廃止する自治体が出てきていますが、それらは学童保育としても、また全ての児童のための対策としても機能していません。それぞれが役割・目的を果たせるよう、それぞれに拡充を図ることを国と地方自治体では進めてください。

 

もはや、少子化対策は待ったなしの現状です。鹿児島県及び全市町村の「地域行動計画」に積極的な学童保育への取り組みが明記されることを期待しつつ、以下の8項目にわたる具体的な要望をします。どれも緊急に実現しなければならないものばかりです。

どうか私たちの切実な要望に応えていただきますよう心よりお願いします。

 

要 望 項 目

 

(1) 少子化対策・次世代育成支援対策・男女共同参画社会づくり等のなかに「学童保育の量的拡充・質的拡充」を明確に位置づけて、強力に推進してください。

@量的な拡大目標の設定にあたっては、必要とする子どもがすべて入所できるように保育所卒園児童数も考慮するなど大幅な増設を目標とするとともに、大規模化を促進させることがないよう適正規模(私たちは「4 0人を上限」と提言)の学童保育を1小学校区に複数設置できるように設定してください。

A行動計画策定指針で「サービスの質の視点」からの計画づくりを提起していることを踏まえ、量的な拡大目標だけではなく、「質的な拡充」についても目標を設定してください。

 

(2) 学童保育事業は、法律で対象と目的が明確にされており、「全児童対策事業」(余裕教室を活用したすべての児童を対象とした遊び場づくり)や児童館事業などの「すべての児童」を対象とした遊び場づくりや健全育成事業に解消できないことを市町村に周知徹底して下さい。

@事業の推進にあたっては、行政の都合による「地域の実情に応じて」ではなく「利用者のニーズ」を基本として事業の拡充を図る必要があることを明確にしてください。

A学童保育が、「保護者が就労等により昼間家庭にいない」児童のための事業として1997年度から法制化されたことの趣旨と意義、少子化対策、次世代育成支援対策、男女共同参画社会づくり等の重点施策として、政府が強力に推進している旨を、地方自治体および関係機関等に周知徹底してください。

 

(3) 子育て支援・少子化対策の観点から母子・父子家庭への保育料負担軽減のための財政支援をしてください。

母子家庭は母親が一家の働き手であり、厳しい労働条件のもとに働いており、学童保育は絶対の条件です。とりわけ2002年8月から児童扶養手当の減額が行われ、母子家庭には大きな影響が出ています。早急な財政措置が求められます。

 

(4) 指導員研修会の継続と充実を図ってください。

県主催の指導員研修が行われていますが、自治体担当者も含めた学童保育内容充実を目脂した研修会になるよう引き続き要望します。

 

(5) 指導員が安心して働ける条件整備をしてください―そのための調査をしてください。

未だに多くの学童保育所では指導員の身分が不安定で、労災・雇用保険が整備されていません。これでは、指導員は安心して働けないのが現状です。現在の保護者会運営では、財政が不安定なため・労働保険(労災・雇用保険)をつけることができません。この結果労働基準法に沿った有給休暇の取得も困難です。これは労働基準法で認められている学童保育指導員の権利を侵告するものです。現状を把握するための調査と財政支援をしてください。

 

(6) 障害児を受け入れている学童保育所への人件費加算と障害児入所の促進を図ってください。

障害児入所に伴う指導員の増員では、保護者が大変な思いをして市町村に掛け合い、補助金を得なければなりません。いくつかの市町村は独自で補助金を支出しています。

県は障害児入所の促進を図るとともに、障害児入所に際しての指導員増員に伴う具体的な予算措置をとってください。

 

(7) 保護者の労働実態に合った学童保育にしてください。

全国連絡会議の保護者アンケートから、日勤が減り、変則な勤務や土日勤務の保護者がさらに増え、保育時間の延長や学校週5日制に伴う土曜保育が必要になっていることが明らかになってきています。

鹿児島県は厚生労働省が示した「全児童を対象とする事業に対する放課後児童健全育成事業の国庫補助の取り扱いの基本的な考え方」という「基準」にそった学童保育の確立に向け市町村に指導するとともに、保育時間延長や土曜保育が実現可能となる鹿児島県独自の補助金をつけてください。

 

(8) 施設整備費のための補助金をつけてください。

少子社会を迎えたとはいえ、現在の経済・雇用情勢のもとでは学童保育の需要は伸びてきています。

国にあっては、学童保育の専用施設整備のための「子育て支援のための拠点施設整備費」を2003年度から補助金交付要綱で変更しています。

県内のいくつかの学童保育所では補正予算に続き、昨年度「子育て支援のための拠点施設設備費」で施設の拡充や新設が図られています。

しかし依然として、施設の拡充や新設が急務です。そのための補助金をつけてください。

 

以 上